Janに紹介してもらったスリランカ人のVajiraa、高校卒業後母国を後にしてイギリスに渡り大学を卒業、今は某グローバルITサービスカンパニーの英国拠点で働いています。前の記事で紹介したとおり彼は日本食未体験であったので、まずは僕からの日本食レクチャーでコミュニケーションは始まりましたが、その後は彼が考える一般的スリランカ人の日本観について聞かせてもらいました。
まず、日本はスリランカに対する最大の援助国とのこと。国営テレビに至っては100%日本資本によって設立されたため、どういうわけか今でもNHKの番組が多く流れるらしいのです。従ってスリランカ人の大半は「おしん」を知っているそうで、彼自身、日本を訪ねる機会があれば最も目にしたいのが北日本の田舎風景と言っていました。
そして彼曰く、日本がスリランカに対して手厚く支援を行うには、相応の理由があるのだそうです。第二次世界大戦後の処理の議論において戦勝国が日本に対して莫大な補償を求めようとしていたところ、当時のスリランカ首相が「復讐の連鎖を生むだけだ」と率先して真っ向から反対しました。結果その声が次第に世界全体に広がり、戦勝国は日本の負担を軽減せざるを得ませんでした。そのことを今でも日本は恩義に感じているため、スリランカには惜しまず援助を継続している、のだそうです。
スリランカも日本も仏教国であることも彼は強調していました。その点において連帯感が醸成されているのかもしれない、と。ただし、仏教はイスラム教やキリスト教と異なり、宗教というよりはむしろ哲学に近いのだというのも彼の主張でした。
さて、これらが事実であるかないかはここでは議論しませんが、日本人である僕に対して配慮した上での発言であることを差し引いても、このように日本が外国よりパートナーのように位置付けられていることを耳にして、悪い気はしません。ただ一方で、どれだけの日本人がこのような外国人からの日本観を十分に知ることができていようかと、疑問に思われました。例えば今回の場合、多くの日本人がスリランカ人に好意的に見られていることを知れば、スリランカという国に対する見方も少し変わってくるでしょう。正の方向に作用するであろう情報が広く伝えられていないのは、実に勿体ないと思います。
少し話は変わりますが、最近中国がアフリカ諸国に積極的にODA援助を行っていることは有名な事実です。そのような国では、今回のスリランカ対日本のような構図が多く見られるのかもしれません。